外国人受入れによる建設キャリアアップシステムの登録義務について
建設キャリアアップシステムの登録は基本的には義務ではありません。
現時点ではその加入・登録は各事業者の任意となっています。
ただし、外国人を受け入れる事業者については、登録が義務化されることになりました。
2019年7月5日に、国土交通省から外国人労働者の受入基準に関する公示があり、その中で外国人を受け入れる場合に、受入事業者が建設キャリアアップシステムに登録する事が義務化されました。
それにより、もともと登録が義務付けられていた「特定技能外国人」に加え、2020年1月からは「技能実習生」と「外国⼈建設就労者」に関しても建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられました。
つまり、建設キャリアアップシステムに登録していない事業者は、特定技能外国人や技能実習生の受入が認められない(受入計画の認定がおりない)という事になり、それにより「外国人を受け入れる事業者=建設キャリアアップシステムの登録が必須(義務)」ということになったということです。
外国人を受け入れる事業者は、建設キャリアアップシステムの事業者登録と、外国人本人の技能者登録の両方が義務付けられています。
次に、建設キャリアアップシステムの登録対象となる外国人についてです。
国内で建設業の現場に従事する外国人は、原則下記の在留資格のどれかを持っている事になります。
※日本人配偶者や永住者を除きます
建設業従事者に必要な在留資格
- ・技能実習生
- ・特定技能外国人
- ・外国人建設就労者
技能実習生とは、外国人を日本の企業が期間付きで受け入れ、働きながら技術や知識を習得してもらい、帰国後にそれらを母国の発展に活かしてもらうという目的の制度です。
この技能実習の理念は、発展途上国への技能移転による国際貢献です。
そのため、技能実習生は家族の帯同が認められておらず、一定期間(最長5年)の実習を終えると在留資格を失い帰国しなければいけませんし、企業も技能実習生を労働力として活用する事は認められません。
しかし実態として、企業が低賃金の労働力として利用するケースが社会問題となった為、現在は技能実習生も労働基準法の対象となっており、技能実習計画の認定制、実習実施者の届出制、監理団体の許可制など、実習生の保護や制度趣旨の徹底が図られています。
特定技能外国人とは、人材を確保することが困難な状況にある産業(特定産業分野)において、一定の専門性や技能を有し即戦力となる外国人を労働力として受け入れる事を目的として制度です。
前述の技能実習生と大きく異なる事は、企業が外国人を即戦力の労働力として受け入れる点です。
技能実習生がそこで習得した技能を活かし、特定技能外国人に移行し、労働力として日本に残って働くというキャリアパスも可能になりました。
特定技能にはその専門性や技能によって1号と2号に分かれており、2号になると在留資格の期間制限がなくなり、家族の帯同も可能になります。
外国人建設就労者とは、建設分野の技能実習を満了した技能実習生が、企業との雇用契約のもと最大で3年間「特定活動」の在留資格を持って、国内で建設現場に従事できる制度です。
本来、技能実習生は最大で5年の実習期間を満了すれば在留資格を失い帰国しなければなりませんが、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会関連の建設需要に対応するため国内人材の確保に努める為の時限的措置として、即戦力労働者として建設業務に従事できるようにしたいわば特別処置的な制度です。
そのため、2022年度末でこの制度は終了し、外国人建設就労者はいなくなる予定です。
今後、外国人を受け入れたいと考えている事業者の方は、建設キャリアアップシステムについての理解を深めて頂ければと思います。
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