経営事項審査(経審)というのを建設業者さんであれば少し聞いたりしたことがあるかと思います。
ここでは、経営事項審査というものが何なのか、建設業をやる以上必ず受けなければならないのかどうかなどについて解説していきます。
まずこの経営事項審査ですが、公共工事を元請業者として直接役所から受注したい場合に受審しなければなりません。
ですから逆に言えば、公共工事を元請でやることがないのであれば別に受ける必要はないわけです。
一方で、企業の信頼を高めるために、公共工事を受けない事業者さんでも経審を受けることもあるというのも事実です。
ということで、このページでは経営事項審査の流れから、仕組み、点数アップの方法、報酬額などについて解説していきます。
それでは、この経営事項審査とはどういったものなのか?ということなんですが、それは、
建設業者としての実力を点数化する作業なんです。
公共工事を発注する行政は、工事を発注するにも基準が何もなければ建設業者さんを選択できません。
ですから、各業者の実力が点数化されていれば、この工事は規模が大きくなるから、900点以上の業者に依頼しようとか、この工事は規模が小さいから500点の業者でも大丈夫、などという感じで選択しやすくなります。
公共工事を受けたい場合には経営事項審査を受けなければならない、ということを書かせていただきました。
そしてこの経営事項審査を受けるにあたっての大前提があります。
それは、建設業許可を受けているということ。
建設工事が500万円未満の場合は建設業許可が不要になりますが、公共工事の場合は500万円未満の小さい金額の工事でも経営事項審査が必須になりますし、ということは建設業許可も絶対に受けておく必要があります。
反対に、建設業許可さえ受けていれば、どんな業者さんであっても経営事項審査は受けることができます。
ということで経営事項審査を受けることができないかも、とご心配される方もいらっしゃいますが、建設業許可さえあればいつでも経営事項審査を受けることができますのでご安心ください。ただし、そのような場合は経営事項審査の点数はどうしても低くなります。
次にどのようにして、経営事項審査を受けていくのかを解説していきます。
先ほども上で書きましたが、建設業許可を受けているというのが前提になります。
建設業許可を受けている業者さんは決算日から4か月以内に事業年度終了届というものを、許可をもらっている行政庁に対して提出しなければなりません。
この決算変更届は経営事項審査を受けるかどうかにかかわらず、建設業許可がある業者さんはすべて必要ですのでご注意ください。
などを記載して提出します。
通常であれば法人の場合は決算日から2か月以内に税務署への申告がされますので、その後2か月以内にで届出るということです。
先ほどの決算変更届で作成した財務諸表を経営状況分析機関へ提出し、財務状況を点数化してもらいます。
この経営状況分析機関というのは国交省に認可された民間の法人が行なっておりまして、どこで受けられても点数は変わりません。
現在認められているのは下記の法人です。
手数料や結果が出るまでの時間は分析機関によって違ってきます。
※当事務所ではワイズ公共データシステム株式会社に依頼しております。
その後、経営状況分析結果通知書が登録機関から届きますので、その通知書を添付した上で、許可を受けている役所に対して経営規模等評価申請書を提出します。
受理された後、通常は1ヶ月弱で経営事項審査の結果が届きます。
※この結果が出たからすぐに公共工事の入札ができる、というわけではないのでご注意ください。
(さらに公共工事を受けるためにはまだ手続きをしなければなりません。)
結果通知書は数字の羅列のようですので、初めて見た場合、どこがどんな点数になっているのかよく分からないと思います。
上の画像でも黄色に色付けしたところがありますが、その総合評点(P)点というものが業者としての点数になりまして、その点数を基にして入札業者のランク分けなどがされます。
また、お気づきのように、各業種ごとに点数がつけられます。
建設業許可はあるが、経営事項審査は受けないということも選択可能です。
例えばよくあるのが、土木と建築の建設業許可は持っているが、公共工事は土木のみで受けたいので、建築に関しては経営事項審査は受けない、などですね。
この総合評点のP点というのは下記の式で決められています。
総合評定値 P = 0.25 X1 + 0.15 X2 + 0.2 Y + 0.25 Z + 0.15 W
と書かれていてもさっぱり分からないですが、
からそれぞれ割り出された数字で、それを上記の数式に当てはめられて最終的に総合評点P点になるわけです。
なおP点の最高得点は2,136点、最低得点は281点となり、平均点がおおよそ700点ぐらいになるように設計されています。
実際には中小企業のレベルでは1000点を超えるというのはかなり難しく、800点を超えるような状態でかなり優秀なレベルかなと思います。
経審の有効期限は『審査基準日から1年7か月』と決められています。
審査基準日というのは通常であれば決算日になります。
(例外として、会社合併直後とか、新設法人の場合は変わってきます。)
その決算日から1年7か月間が有効だということです。
1年とか2年とか1年6ヶ月とかもうちょっとキリのいい数字になぜしてないのかな?と思われるのも当然でしょう。
経営事項審査は上の説明でも書いたように、決算日を基準として会社を点数化しますので、当然会社の確定申告が終わってからしか準備ができません。
確定申告は決算日から原則として2ヶ月以内にすることになっていますから、当然経審の準備はそれからになります。
そこから、上の手順を踏んで、最後に結果を受け取るまでは2ヶ月程度はかかってしまいます。
つまり、素早く順調に手続きをしていったとしても決算日から4ヶ月はかかってしまうわけです。
もし、経審の有効期間が決算日から1年しかなかったら、次の年の決算日を迎えた瞬間に期限切れとなってしまいます。
そうならないように決算日を迎えて、新たな経審を受ける猶予期間を7ヶ月間持たせてくれているというわけです。
スムーズにやったとして先ほど説明したように決算日から4ヶ月ほどかかりますから、3ヶ月分ほどは余裕があるということです。
そういうことに配慮されて1年7ヶ月という有効期間になっています。
ですから、決算から7ヶ月以内にちゃんと手続きしなさいということであり、結局毎年経営事項審査を受けておかなければいけないということですね。
ちなみに経営事項審査の有効期間内に次の年の経審の結果をもらえなかった場合ですが、その間は公共工事の入札ができなくなります。
それくらいで済めばいいんですけども、経審が切れているときにそれを忘れて落札なんかできてしまうと、指名停止を食らってしまって、1年とか2年とか、その役所の工事をできなくなってしまう可能性があります。
いかがでしたでしょうか?
経営事項審査の維持管理、評点アップには、様々な手続き、知識が必要になってきます。
という事業者さん、自社でやってみるよりも当事務所にぜひともサポートさせてください。
ご連絡お待ちしております。